リバプール国立美術館所蔵 英国の夢 ラファエル前派展@Bunkamuraザ・ミュージアム

Bunkamuraザ・ミュージアムで開催されている展覧会の会期が今週末までだったので、観に行ってきました。

リバプール、といえば世界先立つ産業革命の発祥のイギリスの都市ですが、「リバプール国立美術館」とは、そのリバプール市内及び近郊の3つの美術館の総称で、世界有数のラファエル前派の名品有する美術館としても名高く、今回はその所蔵作品の中からロセッティ、ミレイ、ハント、ウォーターハウスなど選りすぐりの65点の油彩・水彩画の傑作絵画が満載の展覧会でした。

リバプール国立美術館は、リバプール市内および近郊のレディ・リーヴァ―・アート・ギャラリー、ウォーカー・アート・ギャラリー、サドリー・ハウスの3館などの総称であり、ラファエル前派を有する美術館として世界的に知られています。リバプールは19世紀半ば以降、造船業や様々な工業によって栄え、英国随一の港町となりました。この町の中産階級の市民が同時代の新進気鋭の画家たち−ラファエル前派の作品を収集したことから、今日までこの貴重なコレクションがまとまった形で伝えられています。(展覧会公式サイト「リバプール美術館とは」より)


ラファエル前派とは1848年に王立アカデミーの学生3名(ミレイ、ハント、ロセッティ)により結成された「前ラファエロ兄弟団」という、19世紀中頃に活躍していたイギリスの芸術家集団のことで、作品には豊かな色彩と精密な自然描写が特徴で、象徴主義の最初の一派として評価されつつも、そんなに長く続いたグループではなかったようですが、「愛と詩、そしてロマンス」「イギリス芸術ロマンティストたちの優雅この上のない絵画」のキャッチコピーさながら、中世の伝承やアーサー王の物語や主題を取り込んだ、優美で叙情あふれる作品が多かったです。

展示作品は大きく分けて4部構成で、第1章「ヴィクトリア朝のロマン主義者たち」に始まり、2章は「古代世界を描いた画家たち」、3章は「戸外の情景」、最後の第4章は「19世紀後半の象徴主義者たち」という流れで、その4章最後に展示されていたエレノア・フォーテスク=ブリックデール作の『小さな召使い(乙女エレン)』が特に印象的で、まさに現代におけるダメンズに惚れた女子みたいな題材が衝撃だったのですが、そのテーマの割には女性に悲壮感が感じられない気がした不思議な絵でした。
他にもミュージアム入口の立て看板にも使用されていた、ジョン・エヴァレット・ミレイ 『ブラック・ブランズウィッカーズの兵士』というナポレオンの軍隊へこれから戦いに挑む兵士と恋人たちの悲しい別れの場面で、女性の銀色サテン調の光沢のドレスの質感の忠実な描写にただただ圧倒されたりもしました。同様に、古代の日常 ローレンス・アルマ=タデマ『お気に入りの詩人』でも古代の設定で、海に臨んだ室内でくつろぐ二人の女性の、半透明の透き通ったドレスの表現などが思わず触れてみたくなるほどの出来でした。


ちなみにチケットに採用されていたのはジョン・ウィリアム・ウォーターハウス 『デカメロン』という作品で、

10人の若い紳士淑女が1人1話ずつ、10日にわたって100の物語を紡ぐボッカッチョの『デカメロン』。美しい庭園で物語に耳を傾ける男女が描かれていますが、どの物語が語られているのかを示すヒントは与えられていません。判断のすべてが鑑賞者の推測に委ねられている唯美主義の傑作です。(展覧会公式サイト「主要作品紹介」より)

どの作品も「自然を忠実に」という精神を、ただただ肌で感じられる技法がリアリズムに影響を与えたのもうなずけるほどの精密描写で、のちの印象主義への流れになったとのことですが、物語の中に迷いこんだような大作を堪能出来て良かったです。

★参考:3分でわかるラファエル前派(1)

「リバプール国立美術館所蔵 英国の夢 ラファエル前派」展
Bunkamura ザ・ミュージアム
2015年12月22日 〜 2016年03月06日
1月1日(金・祝)、1月25日(月)は休館
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